何故日本が米国債を売れないか?
2009年11月23日
宇佐美 保
「何故日本が米国債を売れないか?」の疑問に対する答えを、1993年7月7日、当時日本経済新聞の論説委員であられた和佐隆弘氏が書かれたコラム「大機小機(経済原爆)」から読み解くことが出来ます。
その一部を、以下に抜粋させて頂きます。
(全文は下に掲げたコピーをご参照下さい)
…… 確か、ブラック・マンデーのあった八七年に、兜町の有能な経営者から米国に「IEEPA」という法律があるのを知っているか、と教えられた。「国際非常時経済権限法」とでも訳したらいいのだろうか。「米国の安全保障、外交政策、経済に異常で重大な脅威が発生した場合」「外国とその国民が有する資産に関して」それを所有したり、取引したり、権利を行使することなどを「調査、規制あるいは禁止」したり「破棄、無効あるいは予防する」とうたっている。
この法律が成立したのは77年、ドル切り下げというニクソン・ショックから6年後である。
……
このままでは、IEEPAが適用されるしかないだろうか。これは、いわば“経済原爆”である。とても許せることではない。……
そして、その「経済大国間の国際非常時経済権限」は次のようになっているそうです。
経済大国間の国際非常時経済権限 |
一権限が行任される情況一 第202項 (a) 米国の安全保障、外交政策、経済に異常で重大な脅威が、海外の全域あるいは多くの地域で発生した場合、これに対処すべく大統領よる国家非常事態宣言を経て、第203項で大統領に付与された権限が行使される。 |
一付与される権限− (a)〔1〕大歳領は、自ら定める規定に基いて、第203項に特記された場合とその範囲内において、指示、許可あるいは他の手段を通じて−〔以下のことを〕 (A)調査し、規制しあるいは禁止する。 (i)
すべての外国為替取引 (ii)
いかなる外国もその国と国民を利する度合いに応じて、各金融機関による直接、間接の信用供与と支払い(を調査、規制または禁止する)。 (iii)
通貨、有価証券の輸出入(を調査、規制または禁止する)。 (B)米国の司法権に属するものが、外国とその国民が有する資産に関して、それを取得、押収あるいは取引きをしたり、権利、権力、特権を行使する場合、これを調査、規制、監視、強要、破棄、無効、予防あるいは禁止することとする。 |
このような状態では、日本が米国債(あるいはドル)を売ろうとすれば、「米国の……経済に異常で重大な脅威」となり、このIEEPAにより禁止されてしまい、売り捌けない状態に陥るだけです。
勿論、日本以上に米国債を有している中国も同じ立場に立っているのですから、中国から米国に戦争を仕掛ける愚を行うとは思えません。
米国債を多量に購入することは、米国に「人質」を提供して「恭順の意を表す」ということになるのでしょう。
しかし、この「人質」であるだけで、使うに使えない、又、米国としても「経済原爆」として行使したくない「米国債」を、現在不況に苦しんでいる米国の景気回復に(ひいては日本の景気回復に)役立つように提供して、沖縄の(日本国内の)米軍基地を全て撤退して頂くような鳩山「友愛外交(バラクーユキオ外交)」を私は期待しているのです。
(以上は、1年半前に和佐氏がご提供下さった資料を参考に記述しました)
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